Tuesday, July 19, 2016

心境

 僕の今の状態は、どう説明したら良いのだろうか、漠然としていて、つかみどころがない。不安とも違う。抑うつともちがう。とにかく言葉で言いあらわせないような、しこりのようなものがある。じぶんの感情に対して、どのように接して良いのかがわからない。たとえば、何が好きなのか、じぶんが楽しめることは何なのか、しぶんのやりたいことは何なのか……。周囲の刺激がひとりでに大きくなり、じぶんの声に耳を傾けられないのだ。
 でも、昨日、ピアノの発表会に出てみて、ピアノを弾くことはやっぱり好きだと思えた。継続的に弾いていたいとは、今はあまり思えなくなってしまったのだが、やはり弾いているその時間はとても楽しい。なぜそう思えるのか。それは音楽を演奏するということが、根本的に他人とのコミュニケーションに基づいているからではないかと思う。ピアノを弾くという行為は、たとえ聴衆がいなくとも、その演奏を聴く架空の他者を必要とする。でなければ、演奏することは意味がないことになってしまうからだ。レッスンの場でも、先生と生徒、そして「架空の聴衆」という三者関係が成り立つ。もっといえば、「究極の演奏を見据える神」をも含めた四者関係になる。ゆえにこの関係は極度の緊張状態にさらされる。音楽とはかなり複雑なコミュニケーションなのだ。これが僕が音楽に惹かれる理由かもしれない。だから根本的に、僕は他人と関わりたいと思っているのだろう。僕は他人と関わるのが苦手だと常に思っているが、ピアノを弾くという行為はこれに矛盾する。そして、僕が他人と関わることにしばしば不安を覚えるように、音楽と関わることにも不安を覚える。じぶんの殻にこもっていた方が楽だ。だから僕はしばしば「ピアノをやめたい」と言った。しかし、ピアノを弾いているときは何かを「欲望」しているという実感がまだ僕の中で生きている。今はいろいろなことにとらわれていて辛いけれど、(何が辛いのかもわからないのが辛いのだが!)このほんの少しの実感を忘れないようにしたい。